第一話「お好み焼誕生から今」 寄稿 有限会社エヌ 中本健吾

改めて広島のお好み焼きのルーツと「もり」というお店の存在をお話ししたいと思います。
あくまでも私の解釈ですのであしからず。

元々、戦前には現在の広島風と言われるお好み焼きは存在していませんでした。
広島スタイルのお好み焼き誕生には原爆という負の歴史が大きく関わっています。
終戦後、食糧難を救うために小麦粉が多く配給されたこともあり、鉄板一枚で調理できる「一銭洋食」をベースにして作られたのが広島スタイルのお好み焼きの始まりといわれています。
具には海産物や野菜を加え、高騰していたネギの代わりに安価でボリュームのあるキャベツを入れ、鉄板の上で重ね焼きをして調理をしました。

 

そこから次々に屋台のお好み焼き屋が誕生し、腹持ちを良くするために焼きそばを加えるものも出始め、現在に近いスタイルが完成されました。
それに最も近いスタイルを堪能できるのが、私の知る限り唯一「もり」だけとなります。
べちゃっとしたお好み焼きで、卵はズルズルの状態で出てきます。
鉄板で食べているうちに卵に火が通り、味や食感が変わっていくのが特徴です。

 

ちなみに広島のお好み焼きが注目を浴びるようになったのは、1975年カープの初優勝。
東京から多くのメディアが押し寄せた際にお好み焼きがとりあげられたのがきっかけとなり、広島=お好み焼きとなった訳です。
同じタイミングで屋台から施設(駅ビルやお好み村)テナントの時代に移行し、そこから様々なスタイルのお好み焼きが誕生していきました。

チェーン店で修行し焼き手を多く輩出し出店していくニューウェーブに対し、オールドスクールの個人店が多く廃業してしまう現代、絶滅危惧種となったオールドスクール「もり」のお好み焼きをぜひ味わってください。

※広島人は「広島風」「広島焼」という表現を嫌います。

 

オールドスクールと赤いラジオ。– ref. / Web Store
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寄稿 | 有限会社エヌ 中本健吾